農地を農地のまま売買や貸借するには、中々ハードルが高いと言わざるを得ません。それは農地法で農地の売買や貸借に関して譲受人に対する制限が数多くあるからです。
大まかに言うと、農地を農地のまま売ったり貸したりするには、相手が農家または農業生産法人にしかできません。それは農地と言う特殊性から、新しい所有者が農業経験者でないと直ちに農地が荒れたり、違反転用されたりしてしまうからです。民法上の土地の売買は自由と思われますが、地目が「田」と「畑」と「採草放牧地」の農地だけは農業委員会の許可書がないと登記ができないのです。
ですから、登記をしようにも農業委員会の許可書がないものは、売買予約による所有権移転請求権仮登記がつくくらいで名義が変わらないのです。
かといって、農地転用して宅地や雑種地にして売るにも、これも農業委員会の意見を附して都道府県知事(または都道府県から権限委譲された一部の農業委員会)の許可が必要になります。しかも、面倒ですし時間もかかります。
いずれにしても、農業委員会を通さないと売買も転用もできないのです。農地転用に関しては「農地法による農地転用の制限」以降を参照してください。