7.実際に農地を売買・購入するには

では、実際に農地を売買するにはどうしたらいいでしょうか?4通りの方法が考えられます。

(1)不動産業者を通す方法

これは宅地や雑種地のように、普通に不動産業者へ「農地を売りたい」という契約を交わすだけです。宅地や雑種地と同様に仲介で扱ってくれます。

不動産業者によっては、市街化区域以外にある農地は断られるところもありますが、何軒かまわれば見つかるでしょう。手数料はこれも宅地や雑種地と同じで、3%+6万円+消費税だと思います。

例えば売買価格が500万円であれば22万5百円が仲介手数料だと思います。詳しくは不動産業者に確認してください。

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(2)農業委員会を通す方法

これは農業委員会の業務にある「農地あっせん」という手続きです。ただし、市町村によってはこの業務をやっていないところがあります。やっていないというよりは、経験がないといったほうが正確かもしれません。

このような市町村の農業委員会では、窓口で「じゃあ相手がいたらご連絡します」と回答し、実際は何もやらないという結果になるでしょう。

実際にやっている農業委員会の場合は、農地あっせん台帳を装備し、農家から売りたい農地の希望をとり、希望があればその地番を登載します。それを認定農業者などの専業農家に見せて、買いたいとの申し出があればあっせんする方法です。

農業委員の立会い、または農業委員会事務局の立会い、または両者独自で、売買価格が折り合えば、「農業委員会の許可がおりたら」という条件をつけて契約を交わします。契約書はネットで「契約書 雛型」「契約書 書式」などで検索するとたくさん見つかります。

その後、農業委員会に農地法第3条の申請をし、農業委員会総会で許可がでてから正式な売買契約書を交わします。その後、法務局に権利書や農地法の許可書、売買契約書などを添付書類として所有権移転登記をして売買終了となります。


(3)農家同士の相対取引

売りたい農地の隣接農地所有者または農業を大々的にやっている農家に、直接かけあって買ってくれないか交渉してみましょう。

隣接農地の所有者が専業農家の場合は可能性は多少あります。もし、買う意思があり売買価格が折り合えば、あとは上記の二つ目のやり方である農業委員会を通せばいいでしょう。

ただ、ここ数年の米や野菜価格の下落で農地を買いたいという専業農家は稀です。余程お金に余裕があるか安い農地集めをしている人でないと農地を買いたがりません。

(4)都道府県や市町村の農林公社を通す方法

これは「農地保有合理化事業」と呼ばれるものです。この手続きの対象農地は「農用地区域内(詳細は「農振除外とは」参照)」の農地に限ります。農用地区域外(俗に言う「しろ」「あおしろ」)や市街化区域の農地は対象になりませんので留意してください。

また、農林公社は都道府県単位ではだいたいありますが、市町村レベルで言うとあまりありませんので、市町村農政課に問い合わせてみてください。この公社に「農地を売りたい」というと審査を経て買い取ってくれます。

ただ、最近は昔公社が買い取った農地が不良債権化(?)して買い取りはしないところが多いと聞きます。ですから、買い手を自分で探して手続きだけを公社が行う消極的な「農地保有合理化事業」を行っている公社が多いと聞きます。

この「農地保有合理化事業」によると、手続きはすべて公社が行ってくれます。ただし手数料は取られます。詳細は農林公社へ問い合わせてください。また、この事業によると売り手にとっては譲渡所得税の特別控除(800万円)が受けられ、買い手にとっては登録免許税が軽減されます。また、買い手が認定農業者の場合は、手数料が安くなる場合もあるので詳しくは公社に問い合わせてください。

このように認定農業者に売る場合は手数料も安くなりますし、認定農業者の方が農地を買う可能性が高いと思います。ですから、できれば認定農業者を探した方がよいでしょう。認定農業者を探すには、専業農家でめぼしい人に直接聞くか、市町村農政課で教えてもらってください。事情を話せば教えてもらえると思います。

(5)農地転用して農地を売る →「実際に農地転用するには」を参照


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