9.実際に農地転用するには

では、実際に農地転用するにはどうしたらいいんでしょうか?農地転用には大きく分けると建物と駐車場と資材置き場の3種類に分けられます。それぞれのパターンごとに具体的に説明しましょう。

(1)建物を建てる農地転用

分家や店舗・工場など、建物を建てる農地転用で一番最初にすべきことは、市役所の都市計画課や開発課で建物を建てようとする農地に建物が建てられるかどうかを確認することです。

場所による立地条件や建てる人の人物要件の問題、用途による制限などで建てられるかどうかが都市計画課や開発課によって判断されます。建てられるのであれば、あとは建築業者や不動産業者にお任せしましょう。土地所有者では添付書類の中の建物立面図などが作れませんので、建築業者や不動産屋に依頼するしか方法はありません。

建築業者や不動産屋は電気・ガス・水道・排水などを関係機関と調整してくれます。それと並行して土地の形状に沿った建築計画を打ち合わせましょう。それによって建物の立面図を作ってくれます。建物の場合は、すべて建築業者や不動産業者にお任せするのが一番です。

(2)駐車場の農地転用

駐車場にする場合は、自分でも簡単に申請できます。まずは、転用する原因をどうするか考えましょう。家族の分の駐車場にするか、近隣住民のための貸し駐車場にするか、近くの会社またはそこの従業員用の駐車場にするか、が一般的です。

自分の家族の場合は駐車台数が限られます。例えば、新たに別居していた息子夫婦が同居するという理由であれば、せいぜい3〜5台分がいいとこでしょう。それぐらいの台数で500uの転用申請を出しても「こんなに広い駐車場はいらないでしょう。分筆してから申請しなおしてください。」となります。注意しましょう。

また、まわりに30坪程度の住宅地が広がっている地域の場合は、近隣住民用の貸し駐車場が有効です。これの添付書類では近隣住民の駐車場設置要望書が必要な市町村が多いようです。要望書は簡単で、駐車場設置を希望するという内容の文面に、駐車場を借りたい人の署名を一覧表でつけたもので、転用面積における7〜8割くらいの台数の人数が書かれていれば、あとは新規要望者のためとしておけばいいでしょう。

市町村によっては、さらにこれらの人の車検証の写しが必要なところがあります。会社に貸す駐車場の場合も同様に、どういう営業車を置くか、それの車検証の写しなどが添付書類になります。ここまで添付させる市町村があるということは聞きますが、稀な方かもしれません。

これら駐車場の添付書類には配置図がありますが、公図をとってそれを拡大コピーして方眼紙に写しとって、駐車場枠を書き込む程度の図面で大丈夫です。難しいことはありません。

それで転用許可を取ってそのまま駐車場経営するもいいし、駐車場形態にして法務局で雑種地に地目変更登記をしてから、不動産業者へ賃貸または売買で出すのもいいでしょう。

これらの申請を業者である測量事務所や行政書士に頼むとなると、おそらく最低でも5万円以上かかるでしょう。高い業者では20万円以上かかる場合もあると聞きます。

どの市町村の窓口でも、書き方や添付書類などを教えてくれます。一度で全部は飲み込めないでしょうから、何度か下書きを窓口の職員に見せて指導を受ければ、最終的には申請書が書くことができるはずです。そういうことが面倒な方は測量事務所や行政書士に頼んでしまいましょう。

(3)資材置場の農地転用

資材置場は駐車場とだいたい同じですが、先述の通り場所の問題がちょっとネックになります。「あお」(農用地区域内)地区であると「除外」の際に市町村にもよりますが、資材置場を使う営業所が申請地と同一市町村になければならないとか、営業所から何キロ以内とか制限している市町村があります。この辺は市町村農政課で確認する必要があります。

資材置場で問題になるのは近隣への迷惑度です。まずは何を置くのか?一番多いケースは土砂や建築残土や廃材ですが、それらが隣接地(特に農地)へ土砂が飛んだり、流れたりしないような仕切りが配置図に反映されているかどうか。これは意外と重要視されるポイントです。

また、資材搬入によるダンプ等が通れる道かどうかも問題になります。道路運搬計画書などを土木課や道路課などに提出する市町村もあります。また、隣地所有者との同意書を添付書類とする市町村もあります。こういった資材をおきますので同意願いますといった内容です。

資材置場はだいたい業者から資材置場にさせてくださいと言われるケースが多いようです。だいたい狙われるのは不耕作地が多いように思います。農地所有者からアプローチするとすれば、近所の会社とか隣接している会社に農地を転用してもいいですよという意向をあらかじめ伝えておくか、または不動産業者に農地転用することを条件に売買か賃貸借の依頼をしておくことです。



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